後輩レンアイ。

「え───…
っいや、でも…!」

「血が繋がってなくても、家族になれる。」

血なんか関係ない。
『家族』は心のつながり。
心のつながりが切れてしまったら、家族ではなくなってしまう。

「ね、いいでしょ?
それならアナタも…
龍太クンも、独りじゃない。」

「俺には、そんな資格…ないっすよ。」

無意識に、感じてしまった。
ああ、あたしとこの人は同類なんだ、と。

“あたしに皆の家族を名乗る資格はない”

心の奥底でずっと無視してきた何かが、ちらりと顔を見せた。
(じゃあ誰があの子達を守るの。)
自分にそういい聞かせて、また気付かぬフリをする。

そうしていれば、自分が楽だから。
でも、ずっと逃げ続けていたらいつの間にかすぐ後ろに迫って、追い付かれて、やがて飲み込まれてしまう気がして。

だから、必死で。

全速力で、逃げる。

「資格なんて、はじめから誰にもない。
だから、持つ必要なんてないんだよ。」

「先輩…」

そう、あたしだって、持ってないよそんなもん。
コレは、半分龍太クンに、もう半分はあたしに言い聞かせるための言葉。
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