後輩レンアイ。
───龍太side
俺は、追い出されたあと考えていた。
…あの、何ともいえないような顔はなんだったんだ?
それと
「俺、偏見持ちすぎだったかも…」
少なくとも、中里清華は俺の母親のようなヤツではない…と、思う。
母親、か。
母とも呼べぬヤローだったな。
いつも家にいなくて、遊んでばかり。
そのくせ、俺と遊んでくれようとはしなくて。
そのせいで俺は周りから冷やかされたりしたもんだ。
そのたびに近所のじいちゃんに泣きついて。
はは、一番頼れたのは、親父でもなく母親でもない、近所のじぃちゃんだけだったわ。
…あいつも、中里清華も、親がからんでんのかな。
きっとそうだよな。
親の話を出した瞬間にあんな冷たい顔になったんだし。
俺はアスファルトを踏みしめ、家へとたどり着く。
そのまま勢いで、無駄にデカい玄関を開け、無駄にデカいドアを開き、無駄にデカいベッドに寝転がった。
─────中里清華。
つかめない女だ。
なにを考えているのか、分からない。
なんだか、俺があの女に振り回されてるような気さえする。
「表情が…なんか、こう…」
なんつーのかな、見た目はなにも考えてない感じなのに、腹の奥でなんか考えてるような。
アイツはアイツなりに、考えてんのかな…。
やっぱ俺、偏見持ちすぎ?
てか、どんだけ母親のこと忘れられないんだよ。
「ふ───────────…」
ため息をついて、静かに目を閉じた。