さかのぼりクリスマス
サトルは、社会人三年目。老けて見えるのは多分、自由奔放なヒゲのせいだと思う。
クリスマスを過ごすのに、前々から予約しておいたホテル。
27階というとてつもない高さの最上階レストランで食事をして、飲んで。そのままエレベーターを使えば、すぐに予約している部屋にたどり着ける。
そういう状況に、サトルもわたしもすっかり酔っぱらってしまっていた。
安っぽいお酒とは違って、なじみのない、原液の濃いカクテルやワインが、のどを通ったことも原因かもしれないけど。
…似合わなかったよなぁ。
酔っぱらった頭でも冷静に、そんなことを考える。
お互い見つめ合って、ロマンチックな内容を語り合ったわけでもないし。サトルはワインより、断然ビールの方が好きだし。
だいたい、ああいうおしゃれなバーみたいなところは、酔っぱらいになるんじゃなく、チビチビお酒を楽しむものだし。
「…やっぱ、あわねーな」
そう思っていたら、サトルがふいに口を開いた。
「いっつも行く串屋のがいいわ、おれ。おまえと並びの席で座ってさー、テキトーに盛り合わせ頼んで。今日みたいな薄暗い、洒落た音楽流してるようなとこ長時間いるとさぁ、ズズーッて音たててすすりたくなる。ラーメン」
「……」
「なぁ、ナナ」