さかのぼりクリスマス
◇Third X’mas
Third.
「ナナ、やばい」
街の居酒屋で飲むと、わざわざ家まで歩いて帰ることを考えるから、ある程度でセーブしとかなきゃって。
でも、今日はそういう心配、必要なかったから。
「まっじ、酔ったわ…フラつく」
ボスッ。まさにそんな音をたてて、サトルがベッドに倒れ込んだ。
ダイナミックな大の字。せっかくの真っ白い高級シーツが、一気に庶民的に見えてくるっていう、逆マジック。
「…もー。雰囲気台無しじゃんかー」
「うっせー…ナナのくせに」
おでこまで赤いサトル。さすがにわたしもよく飲んだ方だなぁ、と蒸気したほおに手を当てた。
血行が良くなっても、指先は冷たい。末端には、血管が通っていないみたい。
冷え性なのは、学生時代から変わらないな。
一番変わったのは、お金の使い方かもしれない。社会人になって。
学生のころにはマンガ1冊買うのを悩んでいたのに、今じゃレジにどさっと持って行って、大人買いとか。
今日だって。恋人とクリスマスに、わりとリッチなホテルを予約しちゃったりとか。高めに設定されたお酒も、気にせず頼んじゃったり、とか。
そういうことが、できちゃうんだよね。しちゃうんだよね、そういうこと。
「ね、サトル」
呼びかけてみたけれど、サトルは赤くほてった顔をして、ベッドに寝転がったままだ。
「ナナ、やばい」
街の居酒屋で飲むと、わざわざ家まで歩いて帰ることを考えるから、ある程度でセーブしとかなきゃって。
でも、今日はそういう心配、必要なかったから。
「まっじ、酔ったわ…フラつく」
ボスッ。まさにそんな音をたてて、サトルがベッドに倒れ込んだ。
ダイナミックな大の字。せっかくの真っ白い高級シーツが、一気に庶民的に見えてくるっていう、逆マジック。
「…もー。雰囲気台無しじゃんかー」
「うっせー…ナナのくせに」
おでこまで赤いサトル。さすがにわたしもよく飲んだ方だなぁ、と蒸気したほおに手を当てた。
血行が良くなっても、指先は冷たい。末端には、血管が通っていないみたい。
冷え性なのは、学生時代から変わらないな。
一番変わったのは、お金の使い方かもしれない。社会人になって。
学生のころにはマンガ1冊買うのを悩んでいたのに、今じゃレジにどさっと持って行って、大人買いとか。
今日だって。恋人とクリスマスに、わりとリッチなホテルを予約しちゃったりとか。高めに設定されたお酒も、気にせず頼んじゃったり、とか。
そういうことが、できちゃうんだよね。しちゃうんだよね、そういうこと。
「ね、サトル」
呼びかけてみたけれど、サトルは赤くほてった顔をして、ベッドに寝転がったままだ。