Street Ball
俺はそうでも無かったが、虐める方か虐められる方かで言えば、間違いなく後者だった。


尤も、それは有るか無いかぐらいの些細なものだった。


虐めが酷かったのは、翠の方だった。


中国人と馬鹿にされても、翠は反論一つせずに虐められ続けていた。


そして、一人になった時に今まで溜め込んでいた涙を流す…。


そんな翠の姿を見てきたからか、俺は虐めが大嫌いだ。


嘘臭い正義感なんかじゃなく、これは俺が俺である為の行為だと、自分にそう言い聞かせた。


虐めの現場に近付いていくと、勘の良い一人が俺の存在に気付き、仲間に知らせて小学生の群は逃げ出していった。


なんだか思っていたより呆気なくて、少々拍子抜けしてしまう。
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