Street Ball
「和希!」


背後から聞こえてきた声に振り返ると、藍色の帽子を被った、幼稚園ぐらいの女の子を連れた鉄が居た。


昼間見た時と同じく、鼠色の制服を気崩した鉄。


茶坊主の下に有る小さな目で、俺を睨みながら少年の元に駆け寄り、怪我の具合を確かめている。


「お前がやったのか?」


「冗談、俺は偶々通りかかっただけだよ。じゃあな。」


これ以上、変な誤解は招きたくないと、足早にその場を離れた。


あのファーストフード店で鉄に言われた事を思い出し、鉄から見えなくなる迄走ってから足を止めた。


やっぱり、俺にチームは向いていないのかもしれない…。


そう思うと、今こうしている事が急に無駄に思えてきて、走ってきた道ではないルートを歩いて家へと帰った。
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