Street Ball
小さなテレビに映る、ただ場面が変わるだけのドラマを眺めながら、ぼんやりとそんな事を考えていた。


音の悪いチャイムが鳴ったのは、それから数秒後。


火を付けたばかりのスピリットを口の端にくわえながら、玄関に向かっていく。


翠以外で家を訪ねてくる奴なんて、ダイレクトメールの配達か集金ぐらいのもんだ。


こんな時間に配達も集金も無いだろうから、お袋か?いや、お袋なら鍵を持っている筈だしな。


鍵を開け、アルミ箔の剥げたドアノブを回すと、眉間に有る小さな黒子が特徴的な泰二が立っていた。


「どうした?っていうか、よく俺の家が分かったな。」


「よっ!高校の夏目と同じ中学の奴に聞いてきた。今ちょっと良いか?」
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