Street Ball
泰二の持つバスケットセンスは、その辺の奴が十人集まっても適わないだろう。


鉄の額に負けぬ程、汗を掻いているペットボトルを手にし、一口飲んでから俺もコートに向かった。


ワンバウンドでパスを出され、どうやら泰二が俺のディフェンスをしてくれるらしい。


位置としては、フリースローラインと3Pラインを超え、一番と呼ばれるガードの場所。


右にドライブすると見せかけて、背中の後ろにボールを通してのバックチェンジ。


右サイドと左サイドでは、ディフェンスの守る手の位置が逆になる。


その体勢を変えた隙を見て、今度は逆に左手から右手へとボールをバックチェンジさせた。


動作が一瞬遅れた泰二を抜き去り、フリースローラインを過ぎた辺りからジャンプする。


右手に掴まれたボールは、リングの上から叩き込まれた。
< 131 / 410 >

この作品をシェア

pagetop