Street Ball
ロン…何故か初めて会った時から、好きにはなれない男だと感じた。


脳内に浮かんだ、あの男の顔を打ち消す。


あのロンと呼ばれている男が、自分で勝敗予想を出している訳では無いだろう。


前評判の集計結果が、これだというだけだ。


競馬新聞の通りに馬券を買っても、その通りになるという事は殆ど無い。


前評判がどうだろうと、俺達の勝敗が決まった訳じゃないさ。


「そろそろ試合時間だぞ。」


結局、富さんは俺達に一度も視線を向けず、親指でドアへ促した。


泰二と鉄に目配せし、最後に翠を見てコートへ続いているドアを開く。
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