Street Ball
俺が襟元を離すと、タバコの脂で黄ばんだ歯を見せながら、その教師は大きく咳き込んだ。


「夏目!貴様教師に向かって…。」


言い終わる前に、四つん這いのまま怨めしそうに俺を見上げている、中年教師の顔を蹴った。


飛ばされた身体を追いかけるようにして、その教師に次の蹴りを見舞う。


こんな底辺校に飛ばされた奴が、教師という肩書きだけ振りかざすのは、我慢がならない。


また一つ、かったるいと思っていた気分に、どんよりと湿った雨雲が増えた。
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