Street Ball
「何言ってんだよ、鉄が居たから思い切りシュートが打てたんだろうが。」


缶を手にしたまま、泰二は鉄の肩を押しやる。


それでも納得のいかない鉄だったが、泰二の言うとおりだった。


頼りになるセンターが居ると居ないとでは、シュートを放つ時に余分なプレッシャーがかかる。


精神面のぐらつきが、シュート成功率に表れるのだ。


だが、点を取らないと活躍した気分になれない、鉄の気持ちも分かる。


「まぁそういうなら、次の試合で借りを返して貰おうや。なぁ泰二。」


目を細めて煙を吐きながら、泰二も俺の意見に頷いた。


泰二は僅かに瞼の辺りに赤みが増して、少し酔ってきているらしい。


「おう、倍返しにしてやるから待ってろ。」


真顔でそう言い切った後、鉄はビールを一口飲み下すと、気持ちの良い笑顔を見せた。


「なんだか三人共楽しそうだねぇ。じゃあ私はもう一回マネージャーでもやろうかな。」
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