Street Ball
大いびきを掻き、狭い部屋の壁に手足をぶつけながら、窮屈そうに眠る鉄。


小さい身体を横にして、足を曲げて更に小さくしながら、翠は微かな寝息を立てている。


泰二は窓脇の柱に背を預け、右膝を立てたまま長い瞬きの間のように、静かに眠っていた。


アルミ缶の底に残っていた温いビールを飲み干し、天井からぶら下がっている蛍光灯の紐を三回引っ張る。


外側の丸く大きな蛍光灯が消え、次いで一回り小さな丸い蛍光灯が消え、強く橙色の灯りを放つ豆電球が消えた。


色を失った暗闇の中、三人の寝顔は磨り硝子から入り込んでくる星の灯りに照らされている。


俺も万年床の煎餅布団に潜り込んだが、眠気が無く枕の上で手を組んだ。


目に映るベニヤ板の木目天井は、何時かの雨の所為で所々に染みが広がっていた。


頭を少し横向け、三人の寝姿を見つめる。


…俺の部屋にこんな人数が入ったのは、何時ぶりだろうか…。



いや、思い出すまでも無く、これが初めてだな。
< 161 / 410 >

この作品をシェア

pagetop