Street Ball
「…なぁ夏目、未だ起きてるか?」


暗闇の中で、星灯りを背負った泰二の双眼が、薄っすらと光を放っている。


「何だ、未だ寝てなかったのか。」


顔を雨染みの広がっている、天井に戻した。


「公式でもStreet Ballでも、やっぱりバスケって面白いな。」


泰二の素直な言葉に、思わず笑みが零れた。


「まぁ勝てたら嬉しい分、負けた時は半端無く悔しいけどな。」


その悔しさは、俺がテレビゲームでは味わえなかった悔しさだ。


勝ちに偶然は有っても、負けに偶然は無い。


負けの先に有るものは、負けた理由となる必然性だ。


「今日の試合、夏目の目から見てどう映った?」


「初めての試合だったから確かな事は言えないけど、勢いの波に乗った時の力は有る。」


逆に言えば、それ以外はこれから三人で埋めていかなければいかない課題だった。
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