Street Ball
「勢いの波に乗った時か…その波を作る事も、これからの課題だな。」


泰二に返事はせず、俺はただ静かに頷いた。


「正直言って、夏目はこのチームでどこまで行けると思う?」


「難しい質問だな…上にどんなチームが居るか、未だ分かってないしな。曖昧だけど、良い所までは行くだろうと思ってるよ。」


静まる部屋の中で、鉄の大いびきだけが猛獣の遠吠えのように響いている。


「可愛いマネージャーも新たに加わった事だし、このチームで行ける所まで行ってやろうぜ。じゃ俺もそろそろ寝るわ。」


俺に気を使ったのか、本当にそう思っているのかは分からないが、直ぐに泰二の寝息が聞こえてきた。


このチームで、行ける所まで…。


泰二の言葉が脳内に木霊していたが、俺も自然と眠りの世界と誘われていった。
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