Street Ball
帰ると言っても、階段を下りた一階に行くだけだが、翠も帰って行った。


それを見届けた後で部屋に戻り、ランニング用のナイロンのセットアップを着る。


着終えて外に出た時には、つい数分前に顔を出した時と空気の温度が変わっていた。


苦笑いを顔に張り付けて、赤錆の浮いている階段を下りていく。


直ぐ様額に浮かび上がった汗は、身体に残っているアルコールが抜けていく証拠だと思った。


中日の二日は悪戯な雨で空が濁りを見せたが、天気は週末に向けて回復していった。


それは、熱い週末がやってくる事の予兆とも感じる。


途中のコンビニで冷水の詰まったペットボトルを買い、マネージャーとなった翠を連れて[SB]へ向かう。


頭上には、混じりけの無い水色の空が広がっていた。


彼奴と出会ったのは、空に遮る物が何も無い、そんな暑い夏の日だった…。
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