Street Ball
頭にハンドタオルを乗せながら、翠は何とか暑さに耐えていた。


薄いデニムのミニに、銀色の羽が描かれた黒のタンクトップからは、白い二の腕が露わになっている。


[SB]の前までやって来ると、先に来ている筈の泰二と鉄の姿は無かった。


「あづぅ〜いぃ。もう二人共コートに居るんじゃない?暑いから中に入ろうよ〜。」


彼氏彼女と言うより、幼なじみの延長線上といった関係は、未だ崩れていないままだ。


自動扉の前に立つと、扉に張られているポスターが横にずれていき、レジの前に二人が立っていた。


「よっ。お待たせ。」


店内に入ってきた俺の存在にも声にも気付かず、二人はただただコートへ続くドアにはまっているガラスを見つめていた。


「お〜い、コート使えるんだろ?早く練習しようぜ。」


漸く振り返った泰二は、曖昧な頷きを返した後で視線をコートへと促した。
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