Street Ball

リングに嫌われて落ちてくるボールを、優男は何事も無かったかのようにゴール下でキャッチした。


「優勝チームのエース…。あの優男の名前は？」


泰二と鉄を振り返り、もう戦意が無い事を悟ると、興味を無くしたように歩き出した。


３Ｐラインで振り返り、下半身から溜めた力をボールに乗せ、大きな弧を描くシュートを放った。

雑誌から視線を外さずに、富さんは平板な口調で答えた。


「アキ。」


シュートの行方を気にもせず、放った後は直ぐにまた歩き出した。


目の前のドアが開かれた時、ボールが鎖のネットを潜る音が聞こえてきた。


目の前に現れた男は、切れ長な瞼に、汗で塗れた前髪が被っている。


…これが、俺とアキの出会いだった。