Street Ball
近くで見ると、毛先にシルバーが混ざった茶髪のようだ。


透き通るような透明度の奥には、茶色の瞳。


一見すると、伏し目がちに見える程睫毛が長い。


「ん?あぁ、コートは君達の使用時間だったんだって?ごめんごめん、俺一回集中すると周りが見えなくなるんだよね。はい、ボール。」


敵意という言葉すら知らないような、子供みたく無邪気な笑顔だった。


手渡されたボールを持ち、普段は気にもしない無数の傷を見つめていた。


「おぉっ!可愛い子発見!ねぇねぇ名前教えて。」


「え…あ、翠です。」


戸惑っている翠の手を掴み、ドアを開けて店内を出た。


コートの端で、大の字に伸びている鉄。


深く呼吸をしている為、胸が大きく上下している。


泰二を見れば、両手を膝に置き、同じく荒ぶる呼吸を整えていた。


「…誰だよありゃ。」
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