Street Ball
「去年と一昨年、その前も優勝してるチームのエースだと。」


喋るのも辛そうな泰二は、それ以上の質問はしてこなかった。


だが、それに続けたかった言葉は分かる。


…あの化け物を倒さなきゃ、俺達の優勝は無い。


たった数プレイで、泰二と鉄の体力を奪った男。


二人の体力の消耗度は、それだけ1on1に気が抜けなかった証拠だ。


二人の体力が回復するのを待って、明日の為の練習を始めた。


完膚無きまでに負けたが、鉄には明確な目標が出来て良かったのかもしれない。


覇気が漲るプレーは、練習で見せるのを躊躇わせる程だった。


明確な目標が現れ、闘志溢れる鉄とは一転して、泰二の3Pシュートは成功率が落ちていく。


普段より打つ本数も少ない為、どうしても落ちた時の残像が残ってしまうのだろうと、俺は気にしていなかった。
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