Street Ball
敗者復活戦2
頭上に煌めく月は、先週よりも僅かに膨らみを持ったように見える。


三日程晴天が続いた為に、夜気を含む風は乾いていた。


先に立った翠が[SB]の自動扉を開け、俺もその後に続いていく。


「マジかよ、先週の試合ちゃんと見てたのか?」


店内に響く大声を上げたのは、やはり鉄だった。


パイプ椅子に座る富さんの、バンダナを巻いた頭より少し上に掛けられている、例のホワイトボードを見ているようだ。


鉄の後ろで、コートに続くドアのはめ込みガラスを、ぼんやり見つめている泰二の肩に手を置いた。


「よっ、調子はどうだ?」


色を失った表情の泰二は、何とか作った苦笑いを返すだけだった。


「お、来た来た。ちょっと見てくれよ夏目。[BUZZ]の予想じゃ八対二だと。ったく、先週の試合をちゃんと見てたのかっつーの!」


「そうだな。先週の試合じゃ、鉄はオフェンスに参加しなくてあの結果だったもんな。」


先週の借りを思い出したのか、鉄は言葉に詰まってしまった。
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