Street Ball
ディフェンスは一瞬の内に終わってしまい、続いていたのかと錯覚させるオフェンスが始まった。


泰二からボールを貰い、ゴール下の鉄へパスを落とす。


金髪にスクリーンをかけ、泰二を右サイドへ送る。


「こっちだ鉄!」


ほぼノーマークの状態でパスを貰った泰二が、3Pラインからシュート体勢に入る。


試合開始前に約束したとおり、リバウンドを取りに鉄とは逆サイドのゴール下に向かう。


余り慣れていない右サイドからの泰二のシュートは、遅いモーションからタイミングがずれ、リングに大きく弾かれた。


…やはり、鉄のディフェンスはリバウンドに飛んでいないと確認する…。


「鉄、下で狙われてるぞ!そのままタップで決めろ!」


「おうよ!」


空中で威勢の良い返事を俺に返し、弾かれて落ちてきたボールを、指先の絶妙なタッチでリングに戻した。


5対2。


なんとか3ゴール差になる事は免れ、ほっと胸を撫で下ろす。
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