Street Ball
理由は自分でも分かっていた。


やりたい事が出来ないジレンマ。


幼い頃から水商売をしていたお袋。


その帰りを待つ寂しさを紛らわす為に買ってくれた玩具は、ゴム製の大きなボール一つ。


ぼろアパートの薄壁を気にしつつ、柱の適当な位置をめがけて投げ続けた。


小学校に入ってから、休み時間と放課後の時間を体育館で過ごした。


半分中国人の血が入った俺と遊んでくれる奴は、同じ境遇の翠だけだった。


中学ではそのままバスケ部に入り、二年からはキャプテンになった。
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