Street Ball
相手チームが六点を取るには、三回のオフェンスを要する。


対する俺達は、3P狙いで二回。


成功率は俺と泰二を合わせて三本中二本で良い事になるのだが、中々計算どおりにはいってくれない。


三本連続で入る事も有れば、立て続けに外してしまう事も有る。


思うプレーが出来なくて、苛立ちが募る鉄の為にも、シュートを決めて楽させてやりたいのだが…。


前半終了間際に、3Pのスペシャリストがゴールを沈めてくれて、なんとか28対27。


抜きつ抜かれつの前半戦は、辛くも一点差で試合の折り返しを迎えた。


ハーフタイムにコートの端へ引けていくと、あの女性と不意に目が合った。


俺の考えを見透かしているような、甘い微笑に変わりはない。


汗と熱気でむさ苦しい中、ラストノートとなったベビードールの香りが仄かに漂ってくる。


鼻先で遊ぶ匂いを堪能していたいと思ったが、次の瞬間には嫌な奴の姿を見つけ、フェンスに背中を向けた。
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