Street Ball
仰向けになって大きく胸を上下させ、右腕で目を覆っている鉄。


ゴール下のポジション取りが、どれ程熾烈を極めているのかが分かる。


「このままじゃヤバいな。何か名案が無いか夏目。」


俺と泰二も汗は掻いているものの、肌に湿っぽいという程度だった。


「名案っていうか、鉄のディフェンスがな…鉄、目だけこっちに向けてくれ。」


泰二を剃り込みに見立て、鉄にディフェンスのポジション取りをレクチャーする。


鉄の恵まれた体格から、周りにライバルとなる相手が居なかった事が、ディフェンスに甘さを出していた。


一言で言えば、今までは恵まれた体格でカバーしていたという事だ。


「良いか、膝と腰に溜めを作って、相手の真後ろに張り付く。勿論相手より低姿勢で、足の幅を広げる。溜めが有るから上にも対処出来るし、横は相手に先手を打たれる事は無くなる。これだけでもディフェンスは随分楽になる筈だ。」


ディフェンスはこれで良いとして、問題はオフェンスをどうするか…。
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