Street Ball
「後半もお前等のシュート練習に付き合わなくちゃならないのか…退屈だな。まぁ、俺等と当たるチームは皆そんなもんだ。」


一々俺の気持ちを逆なでしてくる、ニキビ面の囁き。


前半ぐらいの距離を置かれたら我慢も出来るが、こう近くで囁かれては堪らない。


「だからうるせぇんだよお前は。無得点の奴は黙ってろ。」


一瞬目を見開いたニキビ面だったが、直ぐに舌打ちして感情を抑えた。


此奴の性格からして、挑発には乗ってくる筈だけどな…。


俺をディフェンスしてるくせに、視線は俺の背後に有るフェンスを見ている。


DJブースから聞こえてくるスクラッチと低音の狭間で、背後からの叫声が大きくなっていく。


細心の注意を払いながらドリブルし、一瞬だけ振り返った。


微笑の女性の肩に手を回すロンと、親しげに言葉を交わしているアキ。


その周りを、肌を露出させた女性達が、瞳を輝かせて取り囲んでいた。
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