Street Ball
それまでの試合の流れを一変させるプレーは、確かに存在する。


一人が雑なプレーをすると、それが仲間に伝染していくように、良いプレーをした奴の頑張りも、同じ速度で仲間へ伝わっていく。


そうすると、今までは強敵に見えていた相手に対しても、見下しでは無い余裕が生まれてくる。


ニキビ面のチームがこの場所に居るという事は、一度負けたという事。


俺達のような、飛び入り参加の新生チーム以外は、全てのチームが本戦に出場が決まっているチームに負けたんだ。


圧倒的な身長差でも、勝機が無い訳ではない。


鉄に教えたディフェンスは功を奏し、剃り込みへのパスは少なくなった。


剃り込みを使えなくなったソフトモヒカンはたじろぎ、持て余したボールを泰二がカット。


そのまま自分で3Pラインまで戻り、3Pシュートと見せかけて中へドライブしていき、アキとの1on1で見せたフックシュートを放った。


いつの間に自分の物にしていたのか、身体が流れながらのフックシュートは、指先で力加減を微妙にコントロールしてネットを揺らした。
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