Street Ball
接触
三人で勝利の喜びを分かち合いながらも、俺の視線はあの女性を捜していた。


ロンに肩を抱かれ、去っていく姿が視界に入る。


ベビードールの匂いを連れて歩き出す時に、スッとフェンスに小さな紙を挟めていく。


ギャラリーの女はアキに群がり、男共はロンの動向に細心の注意を払っている為、その紙切れは誰の目にも止まっていなかった。


そう、俺以外には。


帰り支度を始めようとコートの端へ移動する時に、フェンスからその紙切れをサッと抜き取る。


それはただのゴミかもしれないのに、デニムのポケットに押し込んだ。


淡い期待の海で溺れる俺に投げ出された、浮き輪のように感じる。


「おっめでとー！」


試合の興奮が冷めていないコートに、翠が元気良く入ってきた。


背の高い鉄にはジャンプしてハイタッチを交わし、泰二には背伸びしてハイタッチ。


「おめでとう双英。」


それまでのテンションの高さは泰二の所で置き去り、バッシュの紐を緩める俺に身体を寄せてくる。
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表紙・目次

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