Street Ball
本戦出場を祝った会は、珍しく早々と終わった。


肩を組みながら、ふらふらのまま帰って行く鉄と泰二を見送った後、どうやら俺も寝てしまったらしい。


テンションは高くとも、身体は正直。


疲労にアルコールが溶け込み、酔いの回りを早めたんだ。


小さなテーブルの上に転がる、数本の空き缶。


部屋に籠もるアルコールの匂いを追い出そうと、滑りの悪い窓を開ける。


辛うじて残っていた、最後の一本となったスピリットに火を付けた。


口の端にくわえながら、空になった箱を捻る。


元の形に戻ろうと、ビニールの包装がクシャッと音を立てた。


構わず離れた所に有る、丸いブリキのゴミ箱にシュート。


捻った空箱は丸い内側を跳ねながら、漸く底に落ち着いた。


昨日の興奮が右手に宿る。


興奮を静めようと、二口目の煙を宙に吐き出した。
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