Street Ball
肌寒さは何処かへ消え去り、事が終える頃には薄っすら汗まで掻いていた。


シーツ一枚を纏って出て行く碧を見ながら、昨日の服に袖を通す。


今となっては、微風のエアコンが火照った身体を冷やしてくれている。


仄かに漂ってくる、パンの焼ける良い匂いが、忘れていた食欲を思い出させた。


後頭部の寝癖を気にしながら、シルバーを基調としたリビングを抜けてキッチンへ。


「友達の所に行くんでしょ?パンだけでも食べていかない?」


焼けたばかりのパンを一枚手渡され、香ばしい端をかじった。


グラスに注がれた牛乳でそれを流し込み、シーツを纏った碧の姿を見る。


胸の上で止められたシーツは、隆起する胸以外は表していない。


「ありがと。そろそろ行くね。」


パンの半分を手にし、軽めの口付け。


そのまま玄関へ移動し、碧に見送られて外へ出た。


電線が下に見え、此処が四階だった事を思い出して、エレベーターで地上に降りる。
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