Street Ball
「なぁ泰二、今の試合見て、正直ビビった?」


誰も言葉を発しない中、口元だけが何とか動いてくれた。


「ビビったっていうか、今の試合見て単純に試合したくなったな。」


「あ、俺も。なんて言うか、無性に身体動かしたくなった。おいおい、まさかビビったなんて言わないよな夏目くん?」


バカ鉄が…。


「誰がビビるか。絶対に頂上から[REEF]を引きずり落ろしてやる。」


それぞれの瞳に宿るは、純粋なまでの好奇心。


一度プライドを傷つけられた事により、燃え盛る闘争心。


そして、圧倒的な強さを前にしての、倒してみたいという挑戦心…。


試合をするには、勝ち続けなければならない。


そう再確認した試合だった。


[HEAT]の一回戦までは、あと三週間。


そこを勝たなければ先も無い。


[REEF]を前にしながらも、思惑の先は未だ見ぬ対戦相手が居た。
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