Street Ball
「あれっ?見に来てたんだ?お気に召していただけたかな?」


突然開かれたドアから姿を現したのは、首筋から流れる汗をタオルで押さえといるアキだった。


先程までの真剣な顔付きは何処かへ消え、何時もの掴み所のない笑顔をしている。


ただ、試合後という事で、何時もの爽やかさが三割程増しているけどな。


「一ヶ月半後を楽しみにしてろよ。」


バカにしたように、口笛を吹きそうなアキを、目で制止させる。


「そうだね〜。そっちが勝ち上がれる事を信じて、体調を万全にしておくよ。」


そう言い残して歩き出したアキに続き、ドレッドと無精髭も通り過ぎていく。


瞬時に自分と同じポジションの相手を見つけたが、意識しつつも言葉は吐かなかった。


[SB]を出て行く、[REEF]の三人。


それと合流するように、[BUZZ]の兵隊を引き連れたロンが現れ、[REEF]と共に視界から消えていく。


ロンの隣には、バイカラーのワンピースを着た碧の姿があった。


昨日も肌を重ねていたのに、今感じる距離は遠くて、胸が落ち着かなかった…。
< 268 / 410 >

この作品をシェア

pagetop