Street Ball
泰二と鉄が不思議がるのは無理もない。


俺と碧との関係は、二人が知る所ではないのだから。


ロンに肩を抱かれている碧は、コートの方を見ないように俯いている。


そんなロンの背後を取り囲む、忠実な［ＢＵＺＺ］の兵隊達。


どうやら、試合後に翠と話すのは、少し遅れてしまいそうだな。


それも、無事に帰れたらの話しだけど…。


フェンス越しに漂う不穏な空気を肌に感じながら、試合は後半戦開始のコールが鳴り響いた。


前半開始時にオフェンスから始まった［ＨＥＡＴ］は、ディフェンスからのスタート。


試合後の事は、試合が終わってから考えれば良いと、意識を目の前のボールに集中させる。


右に左にフェイクを入れられ、俺の両脹ら脛にも自然と力が入る。


一瞬でも気を抜いたら、即座に抜かれてしまう。


これ以上の点差をつけられたら、逆転は難しくなる。


試合後の事を考える余裕は、今の俺には無い。
< 323 / 410 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop