Street Ball
足の爪先から溜められた力を、真っ直ぐボールに込めて放つ。


伸びきった指先から放たれたボールは、ゴムの継ぎ目も見えない程に回転を増していく。


バックボードにもリングの縁にも当たらず、ボールはネットの中心を射抜いた。


ボールが通り過ぎると共に、重い鎖のネットはボールの回転に促されるように大きく揺れ、鎖の先がリングに被さる。


その姿を見て、思わず小さくガッツポーズ。


27対21。


残り八分少々なら、逆転も十分可能な位置。


その為にも、次のディフェンスは更に気が抜けない。


攻守を切り替え、タンクトップから長髪を経由し、ゴール下で踏ん張っている和志へボールが渡った。


じりじりとゴール下に身体をねじ込んでくる和志に負けまいと、鉄も下がらないようにディフェンスしている。


急に力を抜いた和志が、フェイドアウェイのバンクシュート。


シュートブロックに飛んだ鉄は間に合わず、バックボードに当たってからボールはリングに入った。
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