Street Ball
これ以上は進ませまいと、鉄の背後から和志が飛び出てきて行く手を遮る。


背後には長髪、前方には和志。


何時までもドリブルをしているのは得策ではない。


リングから遙か手前で踏み切り、ディフェンス二人を相手に空中戦を挑む。


目前に立ちはだかる、大きな壁。


恐らく後ろに居る長髪は、鉄への下を通すパスを虎視眈々と狙っている筈だ。


ならば、巨躯から両腕を伸ばして来る、和志の上を通すしかない。


シュートよりもパスに近い型で、バックボードの上部をめがけ、ループ気味のボールを放つ。


「鉄!タップ!」


バックボードに当たって跳ね返ってきたボールに軽く触れ、鉄はボールの進行方向を変えた。


もう一度バックボードに当たり、ボールはリングの中へ入っていく。


29対23。


和志が俺のカバーに来たという事は、タンクトップは泰二と鉄の両方をチェックしていた筈。


空中戦なら、体格の差で鉄に分が有る。
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