Street Ball
着地した鉄とハイタッチを交わし、ディフェンスに移る。


泰二を連れながら、ゴール下に突っ込んでくるタンクトップ。


立ちはだかる泰二を前に、空中で自身の背中を通して長髪へノールックパス。


受け取ったボールを左ドリブルで、長髪はタンクトップの走り抜けたラインをなぞる。


ダブルカットインかと思われたプレーは、丁度フリースローラインで急停止し、空中で身体が流れながらのシュート。


打点の高いシュートは、鎖の擦れる音を聞かせながらリングの中心を通った。


31対23。


ハイスコアの乱打戦になるかと思われた試合は、後半開始五分を過ぎてもロースコアのまま。


一つ一つのプレーに集中しなければならないギャラリー。


それ等を目で追い、シュートが決まる度に大きく息を吐く。


熱狂とは一線を画し、行く末を見守るという言葉が当てはまる程に、辺りは静まっている。


追えば突き放し、突き放せば追い付こうとする。


試合は一進一退を極めていた。
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