Street Ball
気を抜く暇もない試合展開は続き、今度はオフェンス。


「夏目!リターン!」


泰二からのパスを、直ぐにリターンで返す。


ああいう読めない瞳をしている時の泰二は、何かをやってくれる。


俺からボールを戻された泰二は、顔だけを3Pシュートに向かわせるように上げてポンプフェイク。


シュートブロックに飛びそうになったタンクトップを抜き、向かってきた和志の頭上を越えるフックシュートを放った。


これまで3Pに徹してきた泰二なだけに、ポンプフェイクだけでタンクトップが騙されるのも無理はない。


31対25。


フックシュートを完全にものに出来たらしく、珍しい事に小さくガッツポーズで喜びを表す泰二。


ボールの回転を完全に操れる泰二にとって、身体の真横から弓なりに反って放つフックシュートも、指先だけでボールの行方に変化を付けられる。


手首を使ったスピンパスと良い、たった数週間でフックシュートをものにした事と良い、指先の魔術師と言っても良いかもしれない。
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