Street Ball
二人の会話にどんな意味が有るのかは知らないが、興味も無いのでどうでも良い。


俺は後ろを付いてくる翠を連れ、空けられた透き間から細道に入った。


「ちょっと双英、あの人にお礼言わなくて良いの?」


俺の視界は数メートル先に見える、NABの大スターであるコービーのポスターが貼られた、あの店の自動扉だけを捕らえている。


「別に言う必要無いだろ。俺はどうやってでも通るつもりだったし。」


少し興奮しているのか、首筋が湿っている。


紛らわす為に取り出した、スピリットに火を付けた。


あの店の隣では、小さな人集りが出来ている。


半分まで吸ったスピリットを排水溝の隙間に投げ、数時間前に訪れた店の中へと入る。
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