Street Ball
「じゃあ、富さんと碧は…だって碧はロンと…。」


「碧は俺の女だ。昔付き合ってたって方が正しいがな。ロンの奴は俺と同郷で、[SB]を開いた時にふらりと現れたんだ。夏目、俺とロンはお前と同じだよ。半分は中国の血が流れてる。」


富さんが俺と同じく、中国人とのハーフだったなんて…。


でもそれなら、富さんが誰よりもバスケで上手くなりたかったと言った意味も理解出来る。


コートの上では、力の有る者が全て。


そこだけなら、日本人だろうが中国人だろうが、アメリカやヨーロッパの奴だろうが関係ない。


俺がバスケにのめり込んだのは、そんな理由も有った。


差別に、虐めに負けない為に…。


「ロンは小さい頃から小狡い奴だった。度胸もないくせに、ずる賢さだけは人の倍も脳味噌が働く。だから碧って鈴を、首に付けておく必要が有ったんだよ。」


「富さん!尽くしてくれてる碧さんに向かってそれはないでしょ!富さんがロンと一緒に居ろって言うから、だから碧さんは…。」


碧が俺と翠の関係が羨ましいと言ってたのは、こういう事だったんだ。
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