Street Ball
富さんを追いかけようとした碧を引き留めた。


「また、富さんに従って生きていくのか?それで本当に碧は幸せなのか?」


碧を慰留させたとしても、俺には何もしてやれない。


そんな事は分かっていたが、聞かずには居られなかった。


「また、私の前から居なくなられるよりはずっとマシだわ。私は、破滅的な人間なのかもしれないわね…。」


俺が未だガキだからなのか、答えを聞いても、やはり俺には理解出来なかった。


復讐の為に、数年の月日を費やしてきた富さん。


そんな富さんとでも、一緒に居られるなら構わないと言う碧。


二人の考えは、俺には理解出来ない。


でも、二人にはそれが全てなのだろう。


人の価値観には、色々なものが有るんだな…。


そんな事を思いながら、走り出した白いバンを見送った。
< 392 / 410 >

この作品をシェア

pagetop