Street Ball
見捨てるような言い種に、短髪の男は口を閉じた。


「金なら俺が出してやる。時間が迫ってるんだからさっさと行けよ。」


古いレジから一万円を短髪に渡すと、富と呼ばれる男はまた雑誌を読み出した。


「足引っ張ったら許さねぇからな。」


敵意剥き出しの短髪は、白いタンクトップの間から龍の彫り物を見せ、俺に凄んでレジ前のドアから出て行った。


肩口から盛り上がった筋肉に、敵意むき出しの顔、どう見ても頭は良さそうじゃない。


「彼奴は翔。俺の名前は卓な。まぁ宜しく頼むわ。」


敵意も無く好意も無いと言った様子の、黒いニットキャップを被った優男は、握手だけ交わすと同じくレジ前のドアから出て行った。
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