Street Ball
「確かに、俺と鉄に打ち明けなかった夏目が悪い。それじゃ鉄にそう言われても反論は出来ないよな?」


泰二の言葉を受け、小さく首を縦に振った。


「でも、決勝に浮かれてた俺達も悪い。それじゃ夏目が言い辛くなるのも分かる。友達の異変に気付けなかったんだからな…それを分かってるくせに、意地の悪い事言ってんじゃねーよバカ鉄。」


「バッカ!これから先も同じような事が起きたら困るじゃねーか。そう思って俺は言ったんだよ!」


これから先…。


何気なく言った鉄の言葉が嬉しくて、涙が溢れそうになった。


「夏目、俺と鉄を誘ったのはお前だ。退屈な時間を過ごさないように、責任とってくれよな。また前みたいな生活に戻るのはご免だぞ。」


溢れそうになる涙を必死に堪えながら、今度は大きく首を縦に振った。


「夏目が思ってるより、[HEAT]の友情は安くないって事だ。翠ちゃん待たせてんだろ?俺と泰二はそろそろ帰るわ。」


「バカ鉄のくせに格好いい事言ってんじゃねーよ。」


泰二にからかわれながら帰る二人の背中を、堪えきれなくなった涙を流しながら見送った。


…俺と友達になってくれて、本当に有り難う。
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