Street Ball
「それなら許してあげるけど、今回だけだからね。」


勿論。俺だって、あんな気まずい雰囲気は二度とご免だ。


なにより、翠の悲しそうな顔を見たくない。


「なぁ、一つ聞いて良いか?何時から気付いてた?」


碧という名前は、何となく出したくなかった。


「双英から、女物の香水の匂いがした時から怪しいかもっては思ってたけど、確信したのは、双英のあの人を見る視線かな?それに、そんなに泰二君の家に泊まりに行くのも変だったし、分かり易いよ双英は。」


惑わせるベビードールの香り。


それに碧を見つめていたのも、思い当たる節が有る。


迂闊だった…。


「これからは気を付けるよ。」


「…は?」


俺の両腕を振り払った翠の顔が、見る見る内に変わっていく。


「いや、違う。今のは言葉のあやだってば。」


「もうっ!」
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