Street Ball
反対の金網の外には、簡易的に作られたDJブースから、腹に響くベース音が轟いている。


金網に凭れ掛かるように転がっていたボールを掴み上げた。


革製の七号ボールは、コンクリート上で使用されている為、表面のぶつぶつ感が無くなっている。


腹の前で見つめていたボールを落とすと、体育館で響くような心地良い音は聞こえなかった。


聞こえてきたのは、低いベース音と高い喚声に邪魔された、ボール内の空気が圧迫される音。


軽めにドリブルして、空中にイメージしたリングに向けてシュートを放つ。


足の溜め、右腕の伸び、左手で添えるだけのフォロースルーのどれにも、違和感は無い。
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