Street Ball
コートの端で寝そべりながら、狂っていた感覚を取り戻すイメージを思い浮かべる。


だが、乱れる呼吸がその邪魔をする。


結局何も出来ぬまま、僅かばかり回復した体力で後半戦に望む。


満足に動けたのは、後半開始五分まで。


その後は思い出したくもない程、体力不足は全てのプレーに影響を与えた。


覚束無いドリブルに、安易なパス。シュートを意識させないプレイヤー等、コート上に居ないと変わりない。


終わってみれば、53対25…。


ダブルスコア以上の大敗だった。


笑う膝に力の入らない脹ら脛と、太股を引きづりつつコートを後にする。


店内に戻った俺を、居たたまれぬ表情で翠が見つめる。
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