Street Ball
「…うん。」


取り敢えず、無視されるという最悪の事態は免れてホッとする。


左の後頭部に纏めた髪を、緩く縦に巻いたまま、後ろから鎖骨の所に持ってきている翠。


右肩に掛けた学校指定の鞄は、何が入っているのかと思う程、大きく膨らんでいる。


実を言うと、翠としたのは昨日が初めてじゃない。


中二の頃、俺の部屋に遊びに来た時、なんとなくそんな雰囲気になってしまったのだ。


そして、その時付き合わなかった事が、俺の中で罪の意識を大きくしていった。


だから翠に素っ気ない態度は取れないと思いつつ、昨日まで罪の意識を薄めてきたんだ。


だが、それももう限界かもしれない。
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