Street Ball
「あのな、昨日あんな事したから言うんじゃないぞ…俺と付き合ってくれないかな?」


嘘。


本当は罪の意識から逃げきれなかっただけだ。


翠が断ってくれれば、その時は今まで通りの関係になる。


そんな打算的な自分が心底嫌になったが、言葉にしてしまってからはもう遅い。


「…珍しく、バッシュじゃないんだね。」


俯いていた翠が、そのまま柔い声を出した。


「あぁ…昨日のでジョーダンのソールが剥がれかけてたんだ。」


「良いよ。」


は?


何が?


俺の語尾に被せ気味だった翠の言葉を、回転の悪い脳が理解するまで数秒かかった。
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