Street Ball
それ所か、この一年で笑った事すら、思い出せるのは数える程しかない。


中学の部活が終わってから、更に一人で居る事が多くなったのが、その原因だった。


「双英が怪我するのを見るのも嫌だけどさ、笑わなくなった双栄を見てるのも辛かったんだよ。だから、危ないかもしれないけど応援するね。」


翠が顔を上げて笑うと、巻き髪も楽しそうに揺れた。


「一緒に行くか?」


俺の問いに頷いた翠は、身を翻してYシャツの袖を捲った白い腕を絡めてくる。


街灯に照らされ、歩き出した二人の背後に、二つの細い影が伸びていた。
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