Street Ball
乗車を待つ利用客の顔が、風景となって流れていき、空気の抜けるような停車音が鳴る。


開かれた扉から一番に降りた俺は、改札口とは真逆の方へと向かった。


上半身だけを扉から出している、不思議そうな顔をしている車掌と目が合う。


そんな事を、一々気にしちゃいられない。


数分前と同じようにフェンスを越えた俺の背後で、さっきの車掌らしき奴の声が聞こえる。


俺が学校指定のYシャツでも着ていれば、車掌は何も言わなかっただろう。


この辺りじゃ俺の通う高校は、ちょっとした有名校だ。


勿論、良い方の意味ではない。
< 9 / 410 >

この作品をシェア

pagetop