Street Ball
「二万だな。」


財布を取り出してみると、中には一万と小銭しか無かった。


「今は一万だけしかないから、取っててくれないかな?金が出来たら引き取りに来るからさ。」


「今日は一万で良いぞ。もう一万は有る時払いで構わない。」


雑誌から視線を外さず、まるで商売っ気の無い富が、今は神様に見えた。


これだけバスケの物で埋め尽くされているなら、余程バスケが好きなんだろう。


「マジで?金は今度来た時に絶対払うからさ。サンキュー富さん!」


俺の中で、富から富さんに格上げした瞬間だった。
< 94 / 410 >

この作品をシェア

pagetop