Street Ball
当時の物と思われる箱にバッシュを入れ、小脇に抱えて家に戻る。


隣を歩く翠も、なんだか嬉しそうな顔をしているし、もう朝の出来事もすっかり忘れていた。


同じアパートの一階、五部屋有る真ん中が翠の家。


同じような境遇の家庭は、何故か同じようなアパートに集まる。


俺が知っている限り、このアパートに純日本人が住んでいる部屋は無い。


もし居たとしたら、余程の変人か貧乏人ぐらいだろうな。


翠と階段の前で別れ、逸る気持ちを抑えながら階段を上る。


鍵を開けると、一目散に自分の部屋へと籠もった。


バッシュに紐を通し、履き心地を確かめている瞬間が、一番心躍る。
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